補正加算の一覧(要件・加算率・対象となる算定方式)

補正加算は、画期性加算・有用性加算(Ⅰ)(Ⅱ)・市場性加算(Ⅰ)(Ⅱ)・特定用途加算・小児加算・先駆加算・迅速導入加算の9種類です。類似薬効比較方式(Ⅰ)または原価計算方式で算定した額に、加算率(画期性加算70〜120%から市場性加算(Ⅱ)5%まで)を掛けた額を上乗せします。原価計算方式では、加算額にさらに開示度に応じた加算係数(1.0/0.6/0)が掛かります。

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令和8年度薬価制度改革後の『薬価算定の基準について』(令和8年2月13日 保発0213第3号、令和8年4月1日以降の薬価収載に適用)に基づく

補正加算にはどんな種類がある?

名称主な要件加算率の範囲対象となる算定方式・併算定の制限
画期性加算次の3要件をすべて満たす:①臨床上有用な新規の作用機序を有する ②類似薬・既存治療に比して高い有効性または安全性が客観的に示されている ③対象疾病の治療方法の改善が客観的に示されている70〜120%類似薬効比較方式(Ⅰ)・原価計算方式
有用性加算(Ⅰ)画期性加算の3要件のうち2つを満たす35〜60%類似薬効比較方式(Ⅰ)・原価計算方式。画期性加算の対象品は除く
有用性加算(Ⅱ)①〜③のいずれか、または④製剤上の工夫により類似薬・既存治療に比して高い医療上の有用性が客観的に示されている5〜30%類似薬効比較方式(Ⅰ)・原価計算方式、新規後発品。画期性加算・有用性加算(Ⅰ)の対象品は除く
市場性加算(Ⅰ)希少疾病用医薬品であって、指定対象の疾病に係る効能・効果が主たる効能・効果である10〜20%(指定基準への該当性の内容により例外的に5%まで)類似薬効比較方式(Ⅰ)・原価計算方式
市場性加算(Ⅱ)主たる効能・効果が、日本標準商品分類の薬効分類のうち市場規模が小さいものとして別に定める薬効に該当する5%類似薬効比較方式(Ⅰ)・原価計算方式。市場性加算(Ⅰ)・特定用途加算・小児加算の対象品は除く
特定用途加算特定用途医薬品(医薬品医療機器等法第77条の2第3項)に指定されている5〜20%類似薬効比較方式(Ⅰ)・原価計算方式。市場性加算(Ⅰ)の対象品は除く
小児加算主たる効能・効果またはその用法・用量に小児(幼児・乳児・新生児・低出生体重児を含む)に係るものが明示的に含まれている5〜20%類似薬効比較方式(Ⅰ)・原価計算方式。特定用途加算の対象品、小児のみが指定範囲の希少疾病用医薬品で市場性加算(Ⅰ)の対象となる品目などは除く
先駆加算先駆的医薬品(先駆け審査指定制度の指定品目を含む)である10〜20%類似薬効比較方式(Ⅰ)・原価計算方式
迅速導入加算国際共同試験等での開発、優先審査、欧米より早いか欧米最初から6か月以内の申請、同じく承認、の4要件をすべて満たす5〜10%類似薬効比較方式(Ⅰ)・原価計算方式。先駆加算の対象品は除く

要件は基準の定義を要約したもの。加算率の範囲は『薬価算定の基準について』別表2による。類似薬効比較方式(Ⅱ)で算定される新薬には補正加算は適用されない。

加算額はどう計算する?

加算額は「算定値×補正加算率」です。補正加算率は加算率(%)を100で割った値で、複数の補正加算に該当する場合は加算率を合計して掛けます(算定値×(α1+α2+…))。加算率を範囲内のどこに置くかは品目ごとに評価され、算定結果は中医協総会の新薬収載資料で公表されます。

原価計算方式の場合は、加算額に開示度(製品総原価のうち薬価算定組織で開示できる額の割合)に応じた加算係数を掛けます。開示度80%以上で1.0、50%以上80%未満で0.6、50%未満で0となり、係数0では加算に該当しても薬価に上乗せされません。

補正加算前の価格が1,000万円を超える再生医療等製品(年間販売額またはピーク時予測売上高が50億円を超えるもの)には、補正加算率を調整する別の算式が定められています。

比較薬に補正加算が付いていた場合は?(令和8年度改革)

類似薬効比較方式では、比較薬が市場性加算(Ⅰ)(Ⅱ)・特定用途加算・小児加算・先駆加算・迅速導入加算を受けている場合、その加算額に相当する額を控除した額を比較薬の薬価とみなして一日薬価合わせを行います。先駆加算・迅速導入加算の控除は以前からの規定で、令和8年度改革で市場性加算・特定用途加算・小児加算にも広がりました。あわせて、比較薬がそれらの加算を受けていても、新薬が同じ加算を受けられるようになりました(令和6年度版では、比較薬が同じ種類の加算を受けていないことが市場性加算・特定用途加算・小児加算の要件でした)。

画期性加算・有用性加算(Ⅰ)(Ⅱ)は控除の対象外です。また、類似処方医療用配合剤、新医療用配合剤、ラセミ体・先行品がある新薬の特例による算定では、この控除は行わず、比較薬が同じ種類の加算を受けていないことなどの条件が引き続き設けられています。

算定方式ごとの収載件数は?

新薬の算定方式の内訳(2007年9月21日〜2026年8月13日 収載、JPD 調べ)
算定方式算定の数
類似薬効比較方式(Ⅰ)598
原価計算方式284
類似薬効比較方式(Ⅱ)70
その他35

補正加算が付くのは類似薬効比較方式(Ⅰ)と原価計算方式で算定された新薬です(規格間調整のみで算定される新薬、キット製品、新規後発品には個別の特例があります)。各加算の要件と実績は、下の関連ページで加算ごとに確認できます。

JPD では、2007年以降の新薬の算定事例を補正加算の種類・算定方式ごとに検索し、根拠となる中医協資料のページを確認できます。

よくある質問

補正加算は重ねて受けられますか?
受けられます。複数の補正加算に該当する場合は加算率を合計して算定値に掛けます。ただし画期性加算・有用性加算(Ⅰ)・有用性加算(Ⅱ)はいずれか1つで、市場性加算(Ⅱ)は市場性加算(Ⅰ)・特定用途加算・小児加算と、特定用途加算は市場性加算(Ⅰ)と、迅速導入加算は先駆加算と、それぞれ併せて受けられません。
類似薬効比較方式(Ⅱ)で算定される新薬に補正加算は付きますか?
付きません。基準上、類似薬効比較方式(Ⅱ)は補正加算の対象とならない新規性に乏しい新薬に適用される方式です。
革新的新薬薬価維持制度(旧 新薬創出・適応外薬解消等促進加算)は補正加算ですか?
補正加算ではありません。既収載品の薬価改定時に適用される制度(基準第3章第9節)で、令和8年度改革で名称が新薬創出・適応外薬解消等促進加算から変更されました。新規収載時の補正加算とは別の仕組みです。
収載後に効能追加をした場合、加算を受けられますか?
小児・希少疾病・先駆的医薬品・特定用途に係る効能等の追加、迅速導入加算の要件を満たす効能追加、市販後に国内の標準的治療法となった場合などは、薬価改定時の加算(基準第3章第10節)の対象になり得ます。有用性加算(Ⅱ)の計算方法を準用し、改定前薬価の1.2倍が上限です。

出所

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