原価計算方式のしくみ
原価計算方式は、類似薬がない新薬について、製造販売に要する原価に販売費及び一般管理費・営業利益・流通経費・消費税等を積み上げて薬価とする方式です。営業利益率は平均的な営業利益率に革新性の程度に応じて0.5〜1の数値を掛けて用い、補正加算には開示度に応じた加算係数が掛かります。算定値が外国平均価格と大きく離れる場合は外国平均価格調整を行います。
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令和8年度薬価制度改革後の『薬価算定の基準について』(令和8年2月13日 保発0213第3号、令和8年4月1日以降の薬価収載に適用)に基づく
原価計算方式はどんな新薬に使われる?
類似薬がない新薬(類似薬効比較方式で比較薬を置けない新薬)が対象です(基準第2章第1部第2節)。このほか、組成・投与形態が同じで効能・効果が異なる既収載品がある新薬(算定額が類似薬効比較方式による額を超える場合は後者)や、不採算品再算定の要件に該当する既収載品を安全対策上の必要から製法変更等して新たに収載する場合などの特例でも用いられます。
| 算定方式 | 算定の数 |
|---|---|
| 類似薬効比較方式(Ⅰ) | 598 |
| 原価計算方式 | 284 |
| 類似薬効比較方式(Ⅱ) | 70 |
| その他 | 35 |
薬価はどう積み上げる?
| 構成要素 | 基準上の扱い |
|---|---|
| 製造販売に要する原価(製品総原価) | 薬価算定単位あたりの原価。輸入品は輸出価格の扱いに特則あり(下記) |
| 販売費及び一般管理費 | 平均的な係数を用いる。一定の条件を満たす新薬は、原価・販管費・営業利益の合計に対する割合の上限を70%とする |
| 営業利益 | 平均的な営業利益率の係数に、既存治療と比較した革新性の程度に応じて0.5以上1以下の数値を掛けた値を用いる |
| 流通経費 | 平均的な係数を用いる。再生医療等製品は実費を勘案した額とし、平均的な係数による額を超えない |
| 消費税及び地方消費税相当額 | 上記の合計に加える |
平均的な営業利益率等の係数は、前年度末時点で得られる直近3か年の平均値を用いる。
営業利益率の補正はどう決まる?
営業利益率は、平均的な営業利益率の係数に0.5以上1以下の数値を掛けて求めます。掛ける数値は既存治療と比較した場合の革新性の程度に応じて決まります。令和6年度版では「平均的な営業利益率の−50%〜0%の範囲」と表記されていましたが、令和8年度版では係数に0.5〜1を掛ける表記になっています。
販管費の上限と輸入品の扱いは?
開示度が80%以上でその妥当性が確認でき、かつバイオ医薬品でない(またはピーク時予測売上高50億円未満で研究開発費だけで平均的な係数を超えるバイオ医薬品である)新薬では、販管費の割合の上限を70%とします。令和8年度改革で、希少疾病用医薬品等で平均を超える係数が妥当と薬価算定組織が認めた場合は、この上限によらないことが明確化されました。
日本以外の国への輸出価格の資料が提出された場合は、日本への輸出価格を超える場合を除き、各国(原則として米国・英国・ドイツ・フランス)への輸出価格のうち最低のものを日本への輸出価格とみなします。合理的な理由があれば、平均価格や2番目に低い価格等を用いることができます。
補正加算と外国平均価格調整はどう関わる?
補正加算の要件を満たす場合は、原価計算による額に補正加算を行います。その加算額には開示度に応じた加算係数(1.0/0.6/0)が掛かり、開示度50%未満では加算が反映されません(詳しくは「加算係数と開示度」)。補正加算後の算定値が外国平均価格の1.25倍を上回る、または0.75倍を下回る場合は、外国平均価格調整の対象になります。
JPD では、2007年以降の新薬の算定事例を補正加算の種類・算定方式ごとに検索し、根拠となる中医協資料のページを確認できます。
よくある質問
- 原価計算方式の平均的な営業利益率は何%ですか?
- 基準は具体的な率を定めず、前年度末時点で得られる直近3か年の平均値を用いるとしています。値は年度ごとに変わります。
- 原価計算方式でも補正加算は付きますか?
- 付きます。ただし加算額に開示度に応じた加算係数を掛けるため、開示度が低いと加算の一部または全部が薬価に反映されません。
- 類似薬があっても原価計算方式になることはありますか?
- あります。組成・投与形態が同じで効能・効果が異なる既収載品がある新薬(未承認薬等検討会議を踏まえた開発要請品目や小児に係る品目を除く)は原則原価計算方式で算定し、その額が類似薬効比較方式による額を超える場合は後者を薬価とします。