市場性加算(Ⅰ)(Ⅱ)の要件と加算率
市場性加算(Ⅰ)は、希少疾病用医薬品で、指定対象の疾病に係る効能・効果が主たる効能・効果である新薬に10〜20%(例外的に5%)を加算します。市場性加算(Ⅱ)は、主たる効能・効果が市場規模の小さい薬効として別に定めるものに該当する新薬に5%を加算します。令和8年度改革で、小児のみが指定範囲の場合を除き、市場性加算(Ⅰ)と小児加算を併せて受けられるようになりました。
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令和8年度薬価制度改革後の『薬価算定の基準について』(令和8年2月13日 保発0213第3号、令和8年4月1日以降の薬価収載に適用)に基づく
市場性加算(Ⅰ)の要件は?
医薬品医療機器等法第77条の2第1項により指定された希少疾病用医薬品であって、指定の対象となる疾病または負傷に係る効能・効果が、その新薬の主たる効能・効果であることが要件です。加算率は原則10〜20%です。
令和8年度改革で、希少疾病用医薬品の指定基準への該当性の内容に応じて、加算率を例外的に5%まで下げられることになりました(基準別表2の注)。骨子では、治験実施の困難さ等を踏まえて加算率を柔軟に判断するとされています。
市場性加算(Ⅰ)が適用された新薬の件数と加算率(2008年4月18日〜2026年8月13日 収載、JPD 調べ)
- 適用された件数
- 110 件
- 加算率の最小〜最大
- 5%〜20%
- 加算率の中央値
- 10%
| 加算率 | 5% | 10% | 15% | 20% |
|---|---|---|---|---|
| 件数 | 3 | 93 | 11 | 3 |
| 算定方式 | 件数 |
|---|---|
| 原価計算方式 | 62 |
| 類似薬効比較方式(Ⅰ) | 48 |
件数は、中医協の新薬の薬価算定資料で加算が適用された算定の数です(規格間調整のみの算定は除く)。
| 収載日 | 販売名 | 算定方式 | 加算率 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年8月13日 | ウェイリズ錠400mg | 類似薬効比較方式(Ⅰ) | 10% | 資料 |
| 2026年8月13日 | ジョエンジャ錠10mg | 原価計算方式 | 10% | 資料 |
| 2026年8月13日 | イソトレックスカプセル8mg | 類似薬効比較方式(Ⅰ) | 20% | 資料 |
| 2026年8月13日 | キネレット皮下注100mgシリンジ | 原価計算方式 | 10% | 資料 |
| 2026年7月15日 | ジャスケイド錠9mg | 類似薬効比較方式(Ⅰ) | 5% | 資料 |
| 2026年7月15日 | ハイツエキシン錠10mg | 原価計算方式 | 10% | 資料 |
| 2026年5月20日 | ソホノスカプセル1mg | 原価計算方式 | 10% | 資料 |
| 2026年5月20日 | ドジョルビ内用液100% | 原価計算方式 | 15% | 資料 |
| 2026年5月20日 | インレビックカプセル100mg | 類似薬効比較方式(Ⅰ) | 5% | 資料 |
| 2026年4月15日 | ラヴィクティ内用液1.1g/mL | 原価計算方式 | 5% | 資料 |
| 2026年4月15日 | イドビンソ配合錠 | 類似薬効比較方式(Ⅰ) | 15% | 資料 |
| 2026年3月18日 | エルゾンリス点滴静注1000μg | 原価計算方式 | 15% | 資料 |
市場性加算(Ⅱ)の要件は?
主たる効能・効果が、日本標準商品分類の薬効分類のうち市場規模が小さいものとして別に定める薬効に該当する新薬が対象で、加算率は5%に固定されています。市場性加算(Ⅰ)・特定用途加算・小児加算の対象となる新薬には適用されません。
市場性加算(Ⅱ)の算式は、有用性の高いキット製品(感染や調剤過誤の危険の軽減などの要件を満たし、キットの構造・機能に新規性があるもの)や、規格間調整のみで算定する新薬で投与回数の減少等の高い医療上の有用性が示されたものにも準用されます。
市場性加算(Ⅱ)が適用された新薬の件数と加算率(2008年6月13日〜2026年8月13日 収載、JPD 調べ)
- 適用された件数
- 6 件
- 加算率の最小〜最大
- 5%〜5%
- 加算率の中央値
- 5%
| 算定方式 | 件数 |
|---|---|
| 類似薬効比較方式(Ⅰ) | 4 |
| 原価計算方式 | 2 |
件数は、中医協の新薬の薬価算定資料で加算が適用された算定の数です(規格間調整のみの算定は除く)。
小児加算や特定用途加算と併せて受けられる?
- 市場性加算(Ⅰ)と小児加算:令和8年度改革で併算定が可能になりました。ただし、指定対象の疾病に係る効能・効果が小児に係るもののみである希少疾病用医薬品が市場性加算(Ⅰ)を受ける場合は、小児加算は付きません。
- 市場性加算(Ⅰ)と特定用途加算:特定用途加算は市場性加算(Ⅰ)の対象品を除くと定義されており、併せて受けられません。
- 市場性加算(Ⅱ):市場性加算(Ⅰ)・特定用途加算・小児加算のいずれかの対象となる場合は適用されません。
比較薬が市場性加算を受けていた場合は?
令和6年度版の基準では「比較薬が市場性加算(Ⅰ)の適用を受けていないこと」が要件でした。令和8年度改革後は、類似薬効比較方式で比較薬が市場性加算(Ⅰ)(Ⅱ)を受けている場合、その加算額相当を控除した額を比較薬の薬価とみなして一日薬価合わせを行い、新薬自身も要件を満たせば市場性加算を受けられます。
新医療用配合剤やラセミ体・先行品がある新薬の特例、規格間調整のみによる算定では、比較薬(新薬算定最類似薬)が市場性加算を受けていないことなどの条件が別に定められています。
JPD では、2007年以降の新薬の算定事例を補正加算の種類・算定方式ごとに検索し、根拠となる中医協資料のページを確認できます。
よくある質問
- 希少疾病用医薬品であれば必ず市場性加算(Ⅰ)が付きますか?
- 指定対象の疾病に係る効能・効果が主たる効能・効果であることが要件です。指定を受けていても、主たる効能・効果が指定対象でない場合は要件を満たしません。
- 市場性加算(Ⅰ)の加算率が5%になるのはどんな場合ですか?
- 基準は、希少疾病用医薬品の指定基準への該当性の内容に応じて例外的に5%を下限とすると定めています。個別の判断基準は基準本文には示されていません。
- 過去の実績に5%の市場性加算(Ⅰ)があるのはなぜですか?
- 統計は2007年以降の全事例を集計しており、各事例は収載時点の基準に基づきます。現行の範囲や例外規定と過去の加算率は必ずしも一致しません。