小児加算(薬価算定の補正加算)の要件と加算率

ここでいう小児加算は、新薬の薬価を算定するときの補正加算の一つで、主たる効能・効果またはその用法・用量に小児に係るものが明示的に含まれる新薬に5〜20%を加算するものです。国内で小児の臨床試験を行わず小児に適した製剤も供給されない場合などは対象外です。調剤報酬や診療報酬で患者の年齢に応じて算定する加算とは別の制度です。

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令和8年度薬価制度改革後の『薬価算定の基準について』(令和8年2月13日 保発0213第3号、令和8年4月1日以降の薬価収載に適用)に基づく

薬価算定の小児加算と調剤報酬の加算はどう違う?

薬価算定の小児加算は、新薬が薬価基準に収載される際に一度だけ判断され、薬価そのものを引き上げます。調剤報酬・診療報酬の年齢に応じた加算は、保険薬局や医療機関が調剤・診療のたびに算定する技術料上の加算で、根拠となる告示も異なります。本ページは前者(『薬価算定の基準について』第1章30)の解説です。

小児加算の要件は?

主たる効能・効果、またはその効能・効果に係る用法・用量に、小児(幼児・乳児・新生児・低出生体重児を含む)に係るものが明示的に含まれている新薬が対象です。加算率は5〜20%です。

次のいずれかに該当する新薬は対象外です。

  • 特定用途加算の対象となるもの
  • 市場性加算(Ⅰ)の対象となる希少疾病用医薬品のうち、指定対象の疾病に係る効能・効果が小児に係るもののみであるもの
  • 国内で小児効能に係る臨床試験を実施しておらず、かつ、小児用製剤など小児に対して臨床使用上適切な製剤が供給されないもの

小児加算が適用された新薬の件数と加算率(2008年9月12日〜2026年8月13日 収載、JPD 調べ)

適用された件数
63 件
加算率の最小〜最大
5%〜20%
加算率の中央値
5%
加算率5%10%15%20%
件数401751
算定方式件数
類似薬効比較方式(Ⅰ)54
原価計算方式9

件数は、中医協の新薬の薬価算定資料で加算が適用された算定の数です(規格間調整のみの算定は除く)。

小児加算が適用された最近の新薬
収載日販売名算定方式加算率出所
2026年8月13日ジョエンジャ錠10mg原価計算方式10%資料
2026年8月13日キネレット皮下注100mgシリンジ原価計算方式5%資料
2026年5月20日アムベルビスト静注2mL類似薬効比較方式(Ⅰ)15%資料
2026年4月15日エキシデンサー皮下注100mgシリンジ類似薬効比較方式(Ⅰ)5%資料
2026年3月18日プリミーフォート経腸用液6原価計算方式10%資料
2026年3月18日セピエンス顆粒分包250mg類似薬効比較方式(Ⅰ)10%資料
2025年11月12日アイマービー点滴静注300mg類似薬効比較方式(Ⅰ)10%資料
2025年11月12日ネフィー点鼻液1mg原価計算方式10%資料
2025年11月12日ワイキャンス外用液0.71%原価計算方式10%資料
2025年10月22日マグミット錠100mg類似薬効比較方式(Ⅰ)5%資料
2025年5月21日プレバイミス顆粒分包20mg類似薬効比較方式(Ⅰ)20%資料
2025年4月16日アナエブリ皮下注200mgペン類似薬効比較方式(Ⅰ)5%資料

令和8年度改革で何が変わった?

  • 市場性加算(Ⅰ)との併算定:成人・小児の同時開発を促す目的で、小児のみが希少疾病用医薬品の指定範囲とされた場合を除き、市場性加算(Ⅰ)と小児加算を併せて受けられるようになりました(令和6年度版では市場性加算(Ⅰ)の対象品は小児加算の対象外)。
  • 比較薬が小児加算を受けている場合:令和6年度版では比較薬が小児加算を受けていないことが要件でした。改革後は、類似薬効比較方式で比較薬の小児加算額相当を控除して一日薬価合わせを行い、新薬も要件を満たせば小児加算を受けられます。

新医療用配合剤、ラセミ体・先行品がある新薬、規格間調整のみで算定する新薬では、比較薬が小児加算(または小児に係る特定用途加算)を受けていないことが引き続き条件です。ただし、PMDA の確認を受けた小児用医薬品の開発計画に基づき遅滞なく開発・承認された品目は、この条件の適用を受けません。

収載後に小児の効能を追加した場合は?

小児に係る効能・効果または用法・用量が追加された既収載品は、薬価改定時の加算(基準第3章第10節)の対象になり得ます。有用性加算(Ⅱ)の計算方法を準用して加算率を求め、改定前薬価の1.2倍が上限です。公知申請など、製造販売業者の負担が相当程度低いと認められる場合は対象外です。

JPD では、2007年以降の新薬の算定事例を補正加算の種類・算定方式ごとに検索し、根拠となる中医協資料のページを確認できます。

よくある質問

小児の用法・用量が添付文書にあれば必ず小児加算が付きますか?
主たる効能・効果またはその用法・用量に小児に係るものが明示的に含まれていることが要件で、特定用途加算の対象品や、国内で小児の臨床試験を行わず小児に適した製剤も供給されない品目などは除かれます。
小児加算と市場性加算(Ⅰ)は併せて受けられますか?
令和8年度改革後は受けられます。ただし、希少疾病用医薬品としての指定対象の効能・効果が小児に係るもののみで、市場性加算(Ⅰ)を受ける場合は小児加算は付きません。
小児加算と特定用途加算は併せて受けられますか?
受けられません。小児加算は特定用途加算の対象となる新薬を除くと定義されています。

出所

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