有用性加算(Ⅰ)(Ⅱ)の要件と加算率

有用性加算(Ⅰ)は画期性加算の3要件(新規作用機序・高い有効性または安全性・治療方法の改善)のうち2つを満たす新薬に35〜60%、有用性加算(Ⅱ)はいずれか1つ、または製剤上の工夫による高い医療上の有用性を満たす新薬に5〜30%を加算します。3要件をすべて満たせば画期性加算(70〜120%)となり、3つの加算は重ねて受けられません。

更新日:

令和8年度薬価制度改革後の『薬価算定の基準について』(令和8年2月13日 保発0213第3号、令和8年4月1日以降の薬価収載に適用)に基づく

画期性加算・有用性加算(Ⅰ)(Ⅱ)の要件はどう違う?

3つの加算は共通の要件の組み合わせで区別されます。基準が定める要件は次のとおりです。

  • イ 臨床上有用な新規の作用機序を有すること
  • ロ 類似薬または既存治療に比して、高い有効性または安全性を有することが客観的に示されていること
  • ハ 当該新薬により、対象となる疾病または負傷の治療方法の改善が客観的に示されていること
  • ニ 製剤における工夫により、類似薬または既存治療に比して高い医療上の有用性を有することが客観的に示されていること(有用性加算(Ⅱ)のみ)
加算満たす要件加算率
画期性加算イ・ロ・ハのすべて70〜120%
有用性加算(Ⅰ)イ・ロ・ハのうち2つ(画期性加算の対象を除く)35〜60%
有用性加算(Ⅱ)イ・ロ・ハ・ニのいずれか(画期性加算・有用性加算(Ⅰ)の対象を除く)5〜30%

有用性加算(Ⅰ)の要件は?

画期性加算の3要件のうち2つを満たし、画期性加算の対象とならない新薬が対象です。たとえば新規作用機序で既存治療より高い有効性が客観的に示されているが、治療方法の改善までは示されていない、という組み合わせがこれに当たります。加算率は35〜60%の範囲で決まります。

有用性加算(Ⅰ)が適用された新薬の件数と加算率(2007年12月14日〜2026年8月13日 収載、JPD 調べ)

適用された件数
51 件
加算率の最小〜最大
25%〜50%
加算率の中央値
40%
加算率25%35%40%45%50%
件数11917131
算定方式件数
類似薬効比較方式(Ⅰ)30
原価計算方式21

件数は、中医協の新薬の薬価算定資料で加算が適用された算定の数です(規格間調整のみの算定は除く)。

有用性加算(Ⅰ)が適用された最近の新薬
収載日販売名算定方式加算率出所
2026年8月13日ウェイリズ錠400mg類似薬効比較方式(Ⅰ)35%資料
2026年8月13日ジョエンジャ錠10mg原価計算方式40%資料
2026年7月15日ジャスケイド錠9mg類似薬効比較方式(Ⅰ)35%資料
2025年8月14日エアウィン皮下注用45mg原価計算方式45%資料
2025年8月14日タービー皮下注3mg類似薬効比較方式(Ⅰ)35%資料
2025年5月21日カムザイオスカプセル1mg原価計算方式45%資料
2025年5月21日ティブソボ錠250mg類似薬効比較方式(Ⅰ)35%資料
2025年5月21日テブダック点滴静注用40mg類似薬効比較方式(Ⅰ)40%資料
2025年4月16日イムデトラ点滴静注用1mg類似薬効比較方式(Ⅰ)45%資料
2024年11月20日アセノベル徐放錠500mg原価計算方式45%資料
2024年11月20日テッペーザ点滴静注用500mg原価計算方式45%資料
2024年11月20日トロデルビ点滴静注用200mg類似薬効比較方式(Ⅰ)40%資料

有用性加算(Ⅱ)の要件は?

イ・ロ・ハのいずれか1つ、またはニ(製剤上の工夫による高い医療上の有用性)を満たす新薬が対象で、加算率は5〜30%です。補正加算の中で最も適用件数が多い加算です。新規後発品でも、要件を満たせば有用性加算(Ⅱ)を加えることができます。

有用性加算(Ⅱ)が適用された新薬の件数と加算率(2007年9月21日〜2026年8月13日 収載、JPD 調べ)

適用された件数
235 件
加算率の最小〜最大
5%〜30%
加算率の中央値
5%
加算率5%10%15%20%25%30%
件数161568622
算定方式件数
類似薬効比較方式(Ⅰ)173
原価計算方式62

件数は、中医協の新薬の薬価算定資料で加算が適用された算定の数です(規格間調整のみの算定は除く)。

有用性加算(Ⅱ)が適用された最近の新薬
収載日販売名算定方式加算率出所
2026年8月13日マルシロン配合錠類似薬効比較方式(Ⅰ)5%資料
2026年8月13日イソトレックスカプセル8mg類似薬効比較方式(Ⅰ)5%資料
2026年8月13日サークリサ皮下注1400mg類似薬効比較方式(Ⅰ)5%資料
2026年8月13日ロープレッサ点眼液0.02%類似薬効比較方式(Ⅰ)10%資料
2026年7月15日ハイツエキシン錠10mg原価計算方式5%資料
2026年5月20日ソホノスカプセル1mg原価計算方式10%資料
2026年5月20日ドジョルビ内用液100%原価計算方式5%資料
2026年5月20日アムベルビスト静注2mL類似薬効比較方式(Ⅰ)5%資料
2026年4月15日ラヴィクティ内用液1.1g/mL原価計算方式5%資料
2026年4月15日ツカイザ錠50mg類似薬効比較方式(Ⅰ)10%資料
2026年4月15日エキシデンサー皮下注100mgシリンジ類似薬効比較方式(Ⅰ)5%資料
2026年3月18日エクテリー錠300mg類似薬効比較方式(Ⅰ)5%資料

画期性加算の実績は?

画期性加算は3要件をすべて満たす場合に限られ、適用例はわずかです。過去の事例の加算率はそれぞれの収載時点の基準によるため、現行の範囲と一致しない場合があります。

画期性加算が適用された新薬の件数と加算率(2015年5月20日〜2026年8月13日 収載、JPD 調べ)

適用された件数
5 件
加算率の最小〜最大
75%〜100%
加算率の中央値
75%
加算率75%100%
件数41
算定方式件数
原価計算方式4
類似薬効比較方式(Ⅰ)1

件数は、中医協の新薬の薬価算定資料で加算が適用された算定の数です(規格間調整のみの算定は除く)。

比較薬に有用性加算が付いていた場合は?

類似薬効比較方式で比較薬の加算額を控除する規定(令和8年度改革で拡大)は、市場性加算・特定用途加算・小児加算・先駆加算・迅速導入加算が対象で、画期性加算と有用性加算(Ⅰ)(Ⅱ)は控除されません。有用性系の加算を受けた比較薬の薬価は、そのまま一日薬価合わせの基準になります。

JPD では、2007年以降の新薬の算定事例を補正加算の種類・算定方式ごとに検索し、根拠となる中医協資料のページを確認できます。

よくある質問

有用性加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に受けられますか?
受けられません。有用性加算(Ⅰ)は画期性加算の対象を、有用性加算(Ⅱ)は画期性加算と有用性加算(Ⅰ)の対象を除くと定義されており、3つのうちいずれか1つになります。市場性加算や小児加算など、他の種類の補正加算とは併せて受けられます。
原価計算方式でも有用性加算は付きますか?
付きます。ただし原価計算方式では、加算額に開示度に応じた加算係数(1.0/0.6/0)を掛けるため、開示度が50%未満だと加算に該当しても薬価に反映されません。
製剤の工夫だけで有用性加算(Ⅱ)を受けられますか?
製剤における工夫により、類似薬や既存治療に比して高い医療上の有用性を有することが客観的に示されていれば、有用性加算(Ⅱ)の要件(ニ)に該当します。

出所

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