MSDの新薬の算定と再算定(2026年10月)キイジェクト・キイトルーダの再算定・費用対効果評価

MSDの新薬の算定・再算定などについて、いまの論点を公表資料から整理しました。数字と日付はすべて中医協・厚生労働省・PMDA などの資料のとおりで、表ごとに出所を付けています。

こんな方に:薬価・マーケットアクセス/費用対効果の担当

2026年10月版 更新日:

ウェブ版(表の出所の資料・全件の表):https://www.healthle.jp/drug-database/companies/2010001135668/report

MSDのいまの論点

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    2026年9月16日に承認されたキイジェクト(キイトルーダの皮下注の製剤)は収載を待っています。点滴静注の製剤が先にあった皮下注の製剤9品目の算定を並べました。

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    キイトルーダは2026年2月1日に市場拡大再算定の特例で7%引き下げられました。PD-1/PD-L1 抗体では、他社品の再算定と同じ日に類似品として下がった記録もあります。

  3. 3

    エアウィン・ウェリレグの費用対効果評価が進んでいます(評価中)。2026年に費用対効果評価で価格が調整された9品目も並べました。

1キイジェクトと、皮下注の製剤の算定の先例

キイジェクト(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、ベラヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え))は2026年9月16日に承認され(新有効成分含有医薬品)、薬価収載を待っています。これまで9月に承認された新医薬品は、2023年は11月22日、2024年は11月20日、2025年は11月12日に主に収載されています(直近3年の承認から収載までの中央値は57日)。収載の日は、中医協の総会で了承されて決まります。有効成分のうちペムブロリズマブの点滴静注の製剤は、キイトルーダ(2017年2月15日収載)です。

同じ成分の点滴静注の製剤が先に収載されていた、遺伝子組換えの成分の皮下注の製剤は、2015年1月以降に9品目です。すべて類似薬効比較方式(I)で算定され、8品目は先にあった点滴静注の製剤(配合剤は各成分の製剤)が比較薬でした。補正加算が付いたのは2品目(ダラキューロ・サークリサ)です。

同じ時期に、レケンビ(エーザイ)も収載を待っています。

同じ成分の点滴静注の製剤が先にあった皮下注の製剤(9品目、収載の順)
収載日皮下注の製剤会社先にあった点滴静注算定方式比較薬補正加算など出所
2021年5月19日ケシンプタノバルティスファーマアーゼラ類似薬効比較方式(I)タイサブリ点滴静注300mgなし資料
2021年5月19日ダラキューロヤンセンファーマダラザレックス類似薬効比較方式(I)ダラザレックス点滴静注400mg有用性加算(II) 5%資料
2023年5月24日エンタイビオ武田薬品工業エンタイビオ類似薬効比較方式(I)エンタイビオ点滴静注用300mgなし資料
2023年11月22日フェスゴ中外製薬パージェタ類似薬効比較方式(I)パージェタ点滴静注420mg/14mL、ハーセプチン注射用150なし資料
2024年4月17日ヒフデュラアルジェニクスジャパンウィフガート類似薬効比較方式(I)ウィフガート点滴静注400mgなし資料
2026年3月18日リブロファズヤンセンファーマライブリバント類似薬効比較方式(I)ライブリバント点滴静注350mgなし資料
2026年3月18日ルンスミオ中外製薬ルンスミオ類似薬効比較方式(I)ルンスミオ点滴静注30mgなし資料
2026年4月15日サフネローアストラゼネカサフネロー類似薬効比較方式(I)サフネロー点滴静注300mgなし資料
2026年8月13日サークリササノフィサークリサ類似薬効比較方式(I)サークリサ点滴静注500mg有用性加算(II) 5%資料
  • 選び方(当社による):遺伝子組換えの成分の皮下注の製剤のうち、その成分で最初の皮下注の製剤で、同じ成分(配合剤は最初の成分)の点滴静注の製剤が先に収載されていたもの。同じ日に収載された点滴静注と皮下注、皮下注どうしの規格の追加は含みません。
薬価・マーケットアクセスの方へ
点滴静注の既収載品を持つ成分の皮下注の製剤で、比較薬と補正加算がどう決まってきたかを確かめるときに。

2キイトルーダの再算定と、PD-1/PD-L1 抗体の再算定の記録

キイトルーダは2026年2月1日に市場拡大再算定の特例で7%引き下げられました(中医協の資料の理由:市場拡大再算定の特例の要件に該当)。キイトルーダの再算定は、これまでに5回です。

PD-1/PD-L1 抗体では、2018〜2026年に15件の再算定がありました。

2021年8月1日にはテセントリクの市場拡大再算定と同じ日に、イミフィンジ・オプジーボ・キイトルーダが類似品として引き下げられています(引き下げ率 11.5%)。

2024年4月1日にはバベンチオの市場拡大再算定と同じ日に、オプジーボが類似品として引き下げられています(引き下げ率 15%)。

PD-1/PD-L1 抗体の再算定(15件、新しい順)
適用日品目会社種類中医協の資料の理由引き下げ率出所
2026年2月1日キイトルーダMSD市場拡大再算定の特例市場拡大再算定の特例の要件に該当7%資料
2024年8月1日イミフィンジアストラゼネカ用法用量変化再算定用法用量変化再算定(※2)11.1%資料
2024年4月1日バベンチオメルクバイオファーマ市場拡大再算定効能追加による市場規模の拡大15%資料
2024年4月1日オプジーボ小野薬品工業市場拡大再算定類似品15%資料
2024年2月1日イミフィンジアストラゼネカ市場拡大再算定の特例市場拡大再算定の特例の要件に該当(※1)25%資料
2021年8月1日テセントリク中外製薬市場拡大再算定市場拡大再算定の要件に該当(※1)11.5%資料
2021年8月1日キイトルーダMSD市場拡大再算定類似品11.5%資料
2021年8月1日オプジーボ小野薬品工業市場拡大再算定類似品11.5%資料
2021年8月1日イミフィンジアストラゼネカ市場拡大再算定類似品11.5%資料
2020年4月1日キイトルーダMSD市場拡大再算定の特例市場規模の拡大(1,500億円超)20.9%資料
2020年2月1日キイトルーダMSD市場拡大再算定の特例市場拡大再算定の特例の要件に該当(※1)17.5%資料
2018年11月1日オプジーボ小野薬品工業用法用量変化再算定主たる効能効果に係る用法用量の変更(※1)37.5%資料
2018年4月1日バベンチオメルクバイオファーマ用法用量変化再算定類似品11.9%資料
2018年4月1日キイトルーダMSD用法用量変化再算定類似品11.1〜11.2%資料
2018年4月1日オプジーボ小野薬品工業用法用量変化再算定主たる効能効果の変更に伴う用法用量の変更(※)23.8%資料
  • PD-1/PD-L1 抗体の選び方(当社の分類):一般名が抗 PD-1・抗 PD-L1 抗体のもの(ニボルマブ・ペムブロリズマブ・アテゾリズマブ・デュルバルマブ・アベルマブ・セミプリマブ・ドスタルリマブ・チスレリズマブ など)。
  • 「類似品」は、ほかの品目の再算定にあわせて、同じ種類の品目として引き下げられたものです(中医協の資料の記載)。
  • 引き下げ率は、資料の現行薬価と改定後の薬価(資料に改定後の薬価が無いときは薬価基準収載品目リスト)から計算しました。4月1日のように薬価改定と同じ日のものは、改定による変化を含みます。
薬価・マーケットアクセスの方へ
他社品の効能追加や市場の拡大で、自社品が類似品として再算定された先例を確かめるときに。
経営企画の方へ
同じ種類の品目の再算定の時期と率を、売上の計画の前提として確かめるときに。

3MSDの品目の費用対効果評価と、2026年の価格調整

MSDの品目で、費用対効果評価の対象に選ばれた記録は5品目です。うち2品目(エアウィン・ウェリレグ)が評価中です(2025年8月6日に選定)。評価を終えて価格が調整された3品目の引き下げ率は0.5〜8.2%でした。

2026年に費用対効果評価で価格が調整された品目は9品目で、引き下げ率は0.3〜11%でした(適用日がこれからのものを含む)。

MSDの品目の費用対効果評価(5品目)
品目区分選定状態評価の結果価格の調整引き下げ率出所
エアウィンH12025年8月6日評価中———資料
ウェリレグH12025年8月6日評価中———資料
ラゲブリオH12022年8月10日評価終了費用増加2024年7月1日8.2%資料
リフヌアH12022年4月13日評価終了1,000万円/QALY以上2023年11月1日7.7%資料
ノクサフィルH12020年4月8日評価終了—2022年2月1日0.5%資料
2026年に費用対効果評価で価格が調整された品目(9品目)
適用日品目会社区分引き下げ率出所
2026年2月1日ビロイアステラス製薬H14.3%資料
2026年2月1日レブロジルブリストル・マイヤーズ スクイブH18.3%資料
2026年6月1日トルカプアストラゼネカH110.7%資料
2026年8月1日ブリィビアクトユーシービージャパンH14.3%資料
2026年11月1日アウィクリノボ ノルディスク ファーマH10.3〜0.4%資料
2026年11月1日ダトロウェイ第一三共H511%資料
2026年11月1日テッペーザアムジェンH15.5%資料
2026年11月1日トロデルビギリアド・サイエンシズH211%資料
2026年11月1日パキロビッドファイザーH14.3%資料
  • 区分(H1〜H5)・選定の日・状態・評価の結果は、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター(C2H)の品目の一覧の記載です。
  • 引き下げ率は、厚生労働省の価格調整の資料の調整前と調整後の薬価から計算しました(規格が複数ある品目は、いちばん小さい率〜大きい率)。
費用対効果の担当の方へ
評価中の品目について、同じ区分の品目がどの結果・どの引き下げ率になってきたかを確かめるときに。

4MSDの新薬の算定(直近5年)

2021年10月16日以降に収載されたMSDの新薬は6品目です。算定方式と補正加算の内訳を、同じ期間のすべての新薬(283品目)と並べました。

算定方式と補正加算(2021年10月16日〜、品目の数)
項目MSDすべての新薬
新薬の収載6品目283品目
類似薬効比較方式3(50%)181(64%)
原価計算方式3(50%)76(27%)
規格間調整0(0%)21(7%)
新医療用配合剤の特例0(0%)4(1%)
本剤に係る特例に基づき算定0(0%)1(0%)
補正加算あり5(83%)193(68%)
原価計算方式で補正加算あり2品目(うち加算係数0が2)69品目(うち加算係数0が45)
  • 品目は、収載日と販売名(規格を除く)ごとに1つと数えています。中医協の新医薬品一覧表の会社名で数えたので、販売提携先の名義の品目は含まない場合があります。
薬価・マーケットアクセスの方へ
自社の新薬の算定の傾向を、全体と比べるときに。

この先の予定と、進行中のこと

進行中のこと

日付の決まっていること(1年以内)

  • ザバクサ:2027年1月7日に再審査期間が満了
  • レベトール:2027年1月7日に再審査期間が満了

公表されている日付と、いまの状態だけを載せています。収載の日・薬価・評価の結果の見込みは書いていません。

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このレポートの表(全件)と、MSDの品目の承認・新薬の薬価収載(算定方式・補正加算・薬価)・再算定を、出所(中医協・厚生労働省・PMDA の資料の URL)つきの Excel でお送りします(無料)。競合品や同じ種類の品目を足すこともできます。

このレポートについて

  • 中医協・厚生労働省・PMDA・国立保健医療科学院などの公表資料から、ヘルスル医薬品データベースがまとめたものです。MSD株式会社の確認を受けたものではありません。
  • 薬の種類(ADC・PD-1/PD-L1 抗体など)と先例の選び方は当社によるもので、各節に選び方を書いています。
  • 薬価の見込み、再算定や評価の結果の見込みは書いていません。
  • 誤りのご指摘・掲載の取り下げのご依頼は、お問い合わせからお知らせください。確かめて、すぐに直します。

MSDの品目と算定の一覧(会社別ページ)

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